Monthly Archives: 11月 2013
川端康成・著『雪国』
国境の長いトンネルを越えたら、普通は1人の青年の魂の遍歴とか、心の成長の物語を期待するものです。 川端康成の『雪国』に、それはありません。 夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。 わずか1行で … Continue reading
永井荷風・著『すみだ川』
小説は、ある時間のある場所を切り取って、そこに生きる人を描きます。当たり前のことではあるのですが、ある場所のある時間を切り取ることは、二義的な要素で、一義的には描き出された人物によって、時間や場所を越えた普遍的 … Continue reading
桐野夏生・著『だから荒野』
主人公は46歳の専業主婦です。 夫と二人の子供がいます。子供は二人とも男の子で、上の子は大学生、下の子は私立の高校に通っています。 主人公がパートに出る経済的な理由は無いようですから、比較的恵まれた家庭の … Continue reading